交差点から区役所を望む。来庁する人々を、県内債木材で設えた空間が迎える。
Photo 松村 芳治全面道路に面して交流空間が連なる。道路側のボリュームを抑え、建物のスケールではなく内部の活動が意識されるようなスケール操作を行っている。
Photo 松村 芳治県内産木材のルーバーが、朝夕の直射日光を防ぐ。執務空間では、木を通した暖かな光環境が創られる。
Photo 松村 芳治「ひろばデッキ」に大きく開かれた「こべや」。多目的ストールを備え、様々なイベントが区民と行政をつなぐ。
Photo 松村 芳治庁舎内に設けられた、地域活動の支援コーナー。地域の人々や職員が協働できるスペース。
Photo 松村 芳治
兵庫Project 7
神戸市西区総合庁舎
区民と行政の架け橋となる庁舎
最も身近な存在であり、困った時に最初に相談できる行政であってほしい。そんな思いから、区の取組みである「伝える」から「届ける」への変革を支え、区民と行政を橋渡しする庁舎を目指しました。地域の人たちと行政をつなぐ場として、「ひろばデッキ」「こべや」という2つの提案を行っています。大屋根が設けられた「ひろばデッキ」は、開放的でありながら雨に濡れず、いつでもだれでも座っておしゃべりをしてられる広場のような空間です。設計にあたっては、未来の西区をつくる世代に庁舎建設に関わってもらい、また活躍の場を増やしていく取り組みとして、神戸市に縁のある若い人たちとコラボレーションする公募コンペを行いました。
1本の糸がデッキに織り込まれていくように照明やテーブル、ベンチ、プランターと変化するファニチャーを設ける最終案を、材料選定を含めて提案者とともに創り上げました。「こべや」は、「ひろばデッキ」に面して動線上にリズミカルに並び、庁舎内部にもデッキにも交流活動がつながる設えです。開庁直後から、子育て支援、様々な相談会やワークショップイベントなど、たくさんの活動でにぎわっています。
行政サービスに目を向けると、DXやダイバーシティの流れを受けながら行政サービスは様々に変化しています。この庁舎では、48m×30mの空間を3本の柱のみで支えるという、極めて高いフレキシビリティを持った執務空間を計画しました。外周部に耐震壁を設け、柱と外部梁をプレキャストプレストレストコンクリート、内部梁を鉄骨とすることで、柱を極限まで減らしています。将来的な部署編成や行政の在り方の変化に柔軟に対応できる庁舎は、日々その姿を変えながら地域の人たちを支え続けます。
建築設計部
久保 岳