大阪Project 13

水都国際中学校・高等学校

学びと生活の溶け合う空間へ

学校建築は学ぶための機能のある普通教室や音楽室(特別教室)などを配置し、より効果的に深い学びにつながるようにコーナーやスペースと中心にメディアセンターをつくる、といった建築のプログラムを解くことがまず大事なことと思います。
しかし、例えば授業のベルが鳴り実験室と名付けられた部屋に向かい顕微鏡をのぞく、その行為・行動には使い手の主観は介在せず、故に廊下と呼ばれる細長い共用空間は移動するためだけの空間になりがちです。

学校じゅうが学びの場になるように設計することが今日の学校建築の命題のひとつとなっていますが、まずその設計プロセスの出発点が少しずれているのではないか、と考えるようになりました。
この学校建築は共用空間すべてを生徒・先生の生活の中心となる場所と考え、全体がまち(町、街、都市)のように様々なアフォーダンスをもった建築となることを目指しました。
中庭を囲んでいくつものボリュームを浮かせる、という単純な空間の操作で内外・上下をつなぎ、多様なスケールで環境も不均一な空間がシームレスに連続しています。同時に人と家具、建築それぞれが関係を結ぶように調整することで、使い手それぞれが空間を解釈し、多様な学びのアクティビティが生まれています。

学びの場所(化)は、そこに使い手のアイデンティティが込められることでつくられます。創造的で魅力にあふれ、使い手が自由な発想で整えながら使いこなす、やがて愛着に変わるような建築を目指したいと思っています。
そして生徒のみなさんが1日1日をよりよく過ごすこと、その延長にこそ社会を生き抜く力を身に着ける学びがある、と信じています。これから世界で活躍するグローバルリーダーへと成長する生徒のみなさんにとって、この学校での学びの風景が大切な財産となることを心から願っています。

建築設計部 寒野 誠規

大阪府大阪市住之江区南港中3丁目7−13Google Map
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