兵庫Project 6

神戸市立垂水体育館

人の原風景を想うこと

青く広がる海と空、そこに架かる明石海峡大橋、六甲山地や淡路島の緑・・・
雄大な環境に恵まれた垂水に住む人の『原風景』との調和を目指し、体育館を計画しました。

エントランスや共用部は風景を印象的に取込むよう開放的な空間づくりを行いました。木張りの壁仕上や造作家具により、木に包まれ優しく温かい雰囲気の空間から明石海峡大橋の眺望や、周囲の遊歩道を歩く人との視線の交錯が生まれるように計画しました。建物の外観は海の水平線と山の稜線に映える緩やかな勾配屋根と水平を強調したスマートなデザインで、明石海峡周辺のウォーターフロントの新しい景観づくりに寄与する建物を目指しています。

今回の計画地が海の直近であることから、塩害や風荷重に耐えうる仕様とすることが求められました。アリーナは、大スパンとなる屋根構造を一般的な鉄骨ではなく木造とし、接合ボルト・プレートなどの金物はすべて木の構造体の中に埋め込み一切見えない納まりとするなど、錆に強い体育館とする一方で、利用者の活動を触発するように最大梁成1.1mの集成材を用いダイナミックで美しい架構を実現しています。

今回の計画地は、昭和設計が40年以上前の用地埋め立て時から継続し携わってきた、垂水処理場の上部活用施設の一部です。地域の人のための施設をつくるという思いを持ち続けたその集大成として、垂水に住む人の『原風景』を想い、建築にできることは何か熟考し計画した今回の体育館は大きな意義があるのではないでしょうか。

建築設計部
 奥田 まり

兵庫県神戸市垂水区平磯Google Map
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