回遊性のある散歩道と四季を感じられる庭。散歩道は建物内外に連続するような形状で外部とのつながりを感じさせるデザイン
Photo 松村 芳治入居者と家族が一緒に交流・活動できる安全な中庭。運用開始後にはパラソルを置いてcafeとしても利用
Photo 松村 芳治食事やレクリエーション、一日の多くを過ごす共同生活室は開放的で気持ちのよい空間。外に散歩に行きたくなるような景色
Photo 松村 芳治「総合在宅ケアセンター」と「障がい者ケアセンター」、社会医療法人と社会福祉法人が運営する2つの施設を合築
Photo 松村 芳治60名定員の通所リハビリテーション
Photo 松村 芳治
兵庫Project 3
特別養護老人ホーム れい和こすもす園
総合在宅ケアセンター かんの
障がい者ケアセンター かんの
散策とコミュニケーションをうながす回遊性
特養とは、重度の要介護高齢者が暮らす施設です。この特養では、建物内の廊下や外部の散歩道をぐるぐるとまわれる、回遊性のある空間としています。曲がった先に何かがある。そんなワクワクする気持ちで、自然と施設内をぐるぐると動いてみたくなるような建物を目指しました。体が不自由で自室にこもりがちな入居者が、少しでも部屋から出て施設内を散策することで、心身の健康、入居者間のコミュニケーションが生まれるきっかけになってくれることを願って設計しました。
このように考えたきっかけは自宅のリノベーションによる経験です。寝室、リビング、ワークスペースが連続し回遊できる空間をつくったところ、我が家に遊びに来た子は、みんな飽きることなく、永遠とぐるぐる走るのです。そして、在宅勤務中の私も、電話をしながら壁のまわりをぐるぐるとまわっていたります。こどもも大人も、なぜなのか、ぐるぐる動ける空間が好きなのです。
回遊性のほか、外構の散歩道、家族も一緒に交流・活動ができる安全な中庭、どこにいても外部を感じられる開口部の配置など、住み慣れた地域の自然を感じながら生活を送って欲しいと考え、外部とのつながりを強く意識して設計しました。
特養と同じ敷地内、加古川市神野の地にワンストップで最適な在宅サービス利用できる「総合在宅ケアセンター」、医療的ケアが必要な重度障がい者の生活の場を創出する「障がい者ケアセンター」も同時に設計し、竣工しました。全国的にも特色のある「東播磨の健康・医療拠点」づくりの第一歩に関われたことを誇りに思います。