オープンな外構が研究所を身近な存在とし、大きく水平に広がるおおらかな庇が訪れるあらゆる人を優しく包み込む。普遍性の高いデザインが未来の健都も支えていくことを表す
Photo 松村芳治だれでも通れる外部歩行空間が情報発信と学び、気づきのきっかけの場となる
Photo 松村芳治健都の交流拠点となるクラスターラウンジ。研究者、市民が垣根を越えて交流する
Photo 松村芳治入居者間の交流を促すリフレッシュスペース。上下階で仕様が異なるリフレッシュスペースがフロア間の交流を促す
Photo 松村芳治屋上交流広場が多様な働き方を受け入れる。仕事の合間にトラックを使ったウォーキングがリフレッシュとなる外での活動が知的生産性を高め、研究環境の向上と健康につながる
Photo 株式会社 伸和
大阪Project 11
健都イノベーションパークNKビル
― 健都から世界へ ―
“まち”と“人”がつながり新たな価値が生まれる研究交流ステーション
北大阪健康医療都市(通称:健都)はJR吹田操車場跡地を利用した吹田市、摂津市にまたがる約3㎞に及ぶレールサイドの新しいまちです。健都のまちづくりは健康・医療のまちづくりを推進することやヘルスケア産業の創出です。さらにこれらの好循環を生むことでまちに活力と新たな価値を生むことを目指しています。その取り組みは、国立循環器病センターを中心にヘルスケア関連企業や研究機関などとの連携によるオープンイノベーションや、研究サイドと市民の双方向コミュニケーションを実施ことで着実に進められています。これらは健都というまち全体を実証フィードとした大きな舞台で進められており、国際級の複合医療産業拠点の創出を目指しています。
健都イノベーションパークNKビルは健都の目指すまちづくりの実現のため、「オープンイノベーションの促進」や「企業や研究機関の交流促進」のための拠点施設となることを目指しており、あらゆる入居者を受け入れられるラボ対応のレンタルオフィスビルとして健都イノベーションパーク内に計画されました。
施設計画では内外部問わず各所にキャラクターの異なる交流空間を散りばめ、あらゆる人が垣根を越えて交流できる場を計画しています。なかでもメインとなる「クラスターラウンジ」はセミナーなどに加え、研究者と市民の交流の場にもなるようにオープンで親しみやすいリラックスできる空間としています。また、ブラックボックスで近寄りがたい存在になりがちな研究施設を開かれた場にするため、建物周囲には誰もが通れる大きな庇のある歩行空間(犬走)を設けることで研究者にとっては情報発信の場となり、市民にとっては「知り・学び・気づき」のきっかけの場となるように計画しています。
あらゆる人が交流し、健都から世界につながる新たな価値が生まれる拠点施設になってくれることを願っています。
建築設計部
西田 典弘