福島市内を縦断する幹線道路沿いに位置するカーディーラーの旗艦店舗・整備工場・本社事務所の計画である。ショールーム・新車展示場を接道面全体にわたって配置し、建築全体を自動車のショーケースとすることを目指した。この実現のために、遠景としてはパラペットサインを接道面全体、80mに渡って展開し、事業者が顧客にサービスする場であることを発信する表現、中・近景としてはファサードをミニマムな構成としてショールームの透明性を獲得した表現とした。
ショールーム内部については、天井をマッスな造形として、壁と天井に囲まれた「部屋」からボリュームの中に穿たれた「空間」へと昇華させた。同時に天井ルーバーと照明を全面道路に向けて線形に配置して方向性を明確にし、開放感のある空間とした。排煙は天井チャンバーを介した自然排煙として、ガラスのファサードから排煙窓を排除してより透明性を高めている。天井ルーバーはその排煙用である。このように、機能上必要な要素の構成によって表現にまで到達させ、無駄のない、コスト面にも配慮した計画ともなっている。